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2010/02/15

独逸阿房列車 本編5(後半)

独逸阿房列車は各駅停車であるからその歩みは遅い。
まだ先は長いですが、もうしばらくお付き合いいただきます。

平成21年9月22日(続き)。

この列車には残念ながら食堂車はついていないが、「BordBistro」というビュッフェ車両が連結されている。
せっかくの鉄道旅行、車窓を楽しみながらの食事もやってみたいものだ。
日本では食堂車など、絶滅危惧されている。

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D-LUX3 /ザルツブルク~ハイデルベルクEC内

ビュッフェでは、飲み物の注文を取りに1等車内を廻っていた小柄な男の乗務員が忙しそうに働いている。
席に飲み物を届け、ビュッフェも切り盛りするのでは大変だろう。
あまり愛想がなく、その表情から忙しさが伝わってくる。
昔の街角のタバコ屋のようなカウンターで注文すると、軽食がサッと出てくる。
食堂車に比べれば趣に欠けるが、けだるい午後の明るい日差しのなか、車窓をぼんやり眺めながら食べるおやつは贅沢だ。
コーヒーは濃いのがなみなみ、チョコレートマフィンは甘くて大きい。
ベンツで有名な工業都市シュトゥットガルトに近づいてくると、だいぶ車窓も都会的になってきて、貨物列車やICE、ECなどと頻繁にすれ違う。
14:45ハイデルベルクに到着。
ホームに降り立ち、これまで乗ってきた車両にカメラを向けていると、BordBistroの車内からさっきの乗務員が手を振ってくれた。
こういう瞬間、旅の一期一会を強く意識する。
僕は彼と再会することは、二度とない。

ハイデルベルクは大学の街だけあって、どことなく街が若々しく華やいでいて賑やかだ。
ホテルに着くと、いままでのホテルとは様子が異なる。
玄関のドアがいくつか並んでいて、まるで普通の集合住宅のよう。
適当にドアを開けてみようとしても、鍵がかかっていて開かない。
エントランスと小さく書いているドアを見つけ、恐る恐る入って声をかけると、普通の客と区別がつかないような女性が出てきた。
小さな紙に名前を書かされ、なにか説明されて鍵を渡される。
僕はほんとにこの人はホテルの人なんだろうか、怪しいもんだぞ、なんて考えながら聞いていたのでよく聞き取れない。
この鍵で入れ、朝食はそこの部屋だ、とかなんとか言ったのだろう。
指定された玄関のドアを開けると、そこはもういきなり部屋。
玄関も何もなく、いきなりベッドやらテーブルやらが置いてある。
ドアを開けるとそこはリビングだった、という感じでどうも落ち着かない。

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M6 /Planar T*50mmF2 /DNP CENTURIA400 /ハイデルベルク市街

旧市街に向かって歩き、有名な川に沿って歩き、有名な橋を眺め、有名なお城を遠くに眺める。
名前はわからないが、有名なものなのだ。

ハイデルベルクに着いたばかりのこの街に対する印象はとてもよかった。
駅の階段ではお婆さんの荷物を運んであげているビジネスマンを見掛けたし、ツーリストインフォの印象もよかった。
街の活気に、この街もきっといいところだぞ!また楽しいことがあるぞ!と思った。
けれども、歩いているうちに、我々はどこか違和感を抱くようになった。

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M6 /Planar T*50mmF2 /DNP CENTURIA400 /ハイデルベルク市街

その違和感がどこから来るものかはよく分からなかった。
たまたま疲れていたからかもしれない。
けれども、どうも気分が乗らないのだ。
これは、全く勝手な、てんで見当はずれな、思い込みによる感想にすぎないかもしれないが、学生の街であることに関係するのかも知れないと思った。
学生の若々しい活気、その反面、若者の粗雑さ、猥雑さなんかも同居しているような気がする街、そんな印象を持ってしまった。
学生の街、なんて聞いていなかったらそんな印象を持つこともなかったのかも知れない。
全くこちらの勝手な印象だ。
この街にはなにも学生だけが、若者だけがいるわけではない。
しかし、我々がともにどこか居心地の悪い違和感をもったのは、我々にとっての事実である。

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M6 /Planar T*50mmF2 /DNP CENTURIA400 /ハイデルベルク市街

ちょっと疲れが出てきたのだろうか。
夕食を食べねばならないが、テンションの下がった我々は得意のお籠り作戦を取ることにした。
ホテルの近くにはスーパーマーケットがあった。
ホテルの部屋にはキッチンが備えてあり、食器も一通りそろっていた。
我々はスーパーで食材を買って、ホテルに戻って何か料理を作って食べることにした。
ちょっとした外国生活気分も悪くないではないか。

翌日もハイデルベルク市街を中心に見て回ることを予定していたが、我々は予定を変更し、翌日はハイデルベルクを離れることにした。

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