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2010/01/19

独逸阿房列車 本編4

平成21年9月21日。

この日は移動なしで、一日ザルツブルクを観光する。
昨日と同じように橋を渡って川を越え、旧市街を目指す。
この辺りはなんとか「ガッセ」がやたらと多く、そこらじゅうにガッセ、ガッセと書いたプレートが建物の壁についている。
「ガッセ」とは小路の意味らしい。
ちなみに、ザルツブルクの名所として有名なモーツァルトの生家はゲトライガッセという小路に面しているが、我々は特に興味ないので当然のようにスルー。

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M6 /Planar T*50mmF2 /Kodak Gold100 /ザルツブルク市街

市街に着いたのは10時くらいで特に朝早いというわけでもなかったが、まだ観光客もそれほど多くなく、開店の準備をしている店もあり、さわやかな朝の街を歩くことができた。
土産物屋を開ける準備をしているおばあさんに挨拶をすると、小路の説明をしてくれた。
ここはとてもとても古い街であること、自分はずっと昔からここに住んでいること。
声高にそれをしゃべるでもなく、静かに独り言のように、本当に我々に向けてしゃべっているのかな、といったような話し方だったが、自分の住んでいるこの古い街に愛着と誇りを持っていることは明らかだった。

今日はぶらぶら散歩しているだけではなく、目的地がある。
ホーエンザルツブルク城という、まあザルツブルクに来れば必ず訪れると思われる、市街を見下ろす古城だ。
それは丘の上にあり、市街のどこからでも眺められるが、入り組んだ市街をやみくもに歩いてもなかなか近づいている気配がない。
広場に出て、案内図を見つける。
北はどっちだ、現在地はどこだと眺めていると、後ろから「エンシューディゴン」と声がした。
「エンシューディゴン」とは日本語でいうところの「すみません」で、それこそ「すみません」と同じように、謝罪や声をかける時など、日常多用されるそうだ。
振り向けばおばさんが立っている。
おお、ほんとにエンシューディゴンって言うんだ!と変な感心をしていると、
「その自転車私のなの、ちょっと失礼するわ」とのこと。
優しそうなおばさんだ。
一瞬躊躇ったが、とっさに、城に行きたい、ここはどこか、と尋ねてみる。
城への行き方は、まあ判ったような判らなかったような。
ついでにちょっと話してみると、おばさんはお母さんが日本に行ったことがあること、自分は日本へは行ったことがないが、ぜひ行ってみたいということを話してくれた。礼を言って別れる。

城のふもとにたどり着くと、そこからは結構丘を登らなければならない。
便利なケーブルカーもあるが、乗り場は混雑している。
若い我々は細い小径を歩いて登ることに。

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M6 /Planar T*50mmF2 /Kodak Gold100 /ホーエンザルツブルク城内

ホーエンザルツブルク城はいかにもヨーロッパの中世の城、といったイメージで、城門をいくつかくぐりながらどんどん登ってゆくと、息切れがしてくる。
今日は暑いくらいの天気だ。
中は多くの城がそうであるように博物館になっていて、その一角には中世ヨーロッパらしく、さまざまな拷問器具も展示してある。
棘棘のついた椅子や、車輪、拘束具、ほかにもあんなものやこんなものまで…。
展示してあるのを見るからには、その使い方に思いを馳せざるをえないのだが、一見何に使うの?といった物も、個人的な興味からよく知っていたので、実際に目にするとザワザワしてくる。おっかない。
外人たちも様々な表情でこれらを眺めている。
日本とて中世においては例外ではないのだが、僕はどうしてもヨーロッパというと、現在の洗練された美しい街並みの陰に存在した、こういった血なまぐさく、湿った暗い一面を意識せずにはいられない。

城から再び徒歩で下り、ふもとのお店で昼食をとる。小さなオープンテラスのお店だ。
料理の名前は忘れたが、でかいソーセージと、芋と、ビール。
少々の疲れと、暑さと、高揚した気分とで、やや酔いが回る。
午後は再び市街をぶらぶら散歩。
ちょっとだけお土産を買ったり、街角での演奏を聴いたり、ベンチに座って休んだり。
同じような街並みをぐるぐる回っているだけだが、飽きることはない。
目に見えるものはなんでも初めて見るものだし、僕はそれらを気持ちよく写すことができるカメラを手にしているのだ。
いつまでだってこうしていられる。

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M6 /Planar T*50mmF2 /Kodak Gold100 /ザルツブルク市街

さすがに陽が傾いてくる頃には疲れが出てきた。
今日の夕食は、レストラン。
一度、オープンカフェのようなところに決めかけたのだが、メニューには写真も英語表記もなく、まっっったくそれが食べ物なのか飲み物なのか何なのか、魚なのか肉なのか野菜なのか判らなかったので、こっそり逃げ出し、「日本語メニューあります」と玄関に表示してあるお店に入った。
しかし僕は緊張し、「どの(言葉の)メニューを持ってくるか?」と聞かれたときに、ついうっかり「英語の」と言ってしまい、妻は唖然としていた。
僕としては、さっきのドイツ語のメニューが頭にあり、それから逃れたい一心でつい「英語の」と言ってしまったが、ああそうだ…ここには日本語のメニューもあったのだ。
料理の名前は忘れたが、ここではものすごい量のカツやら芋やらを食べた。もちろんビールも。

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M6 /Planar T*50mmF2 /Kodak Gold100 /ザルツブルク市街

夕暮れ迫る街ではでかいクルマらに囲まれながら、負けじと可愛いチンクが走っていた。

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コメント

地元の人たちとの触れ合い、なかなかいいもんですね。
城とか中世とかいうと、俺はどうしてもドラキュラを考えます。
子どもですかね?(笑)
初期の「ノスフェラトゥ」とかコッポラの「ドラキュラ」まで、いろんな吸血鬼を見てきました。

赤いチンク、ルパンは黄色だったけど、赤いのもいいですね。
現行車では、カブリオレが最近出たところですが・・・。

投稿: お腹 | 2010/01/20 11:46

ドラキュラですかー。
子供の頃、本で見てなんて怖いんだと思った覚えがありますね。
でも暗く恐ろしげなイメージは僕のと共通してるでしょうかね。
チンクのキャンバストップはおしゃれでとてもいいですよね!
ああいう車に乗りながら、のんびりゆーっくりドライブするのもいいなあ。

投稿: brix | 2010/01/25 22:47

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